障がいのある方の家族信託

「親なき後問題」は障がいのある子どもをもつご両親の最も大きな関心事です。家族信託は親なき後問題の解決策としても活用できます。

障がいのある子どもの面倒をみているご両親が不慮の事故などで子どもの生活を支えられなくなった場合に、「財産管理や子どもの身上監護を誰がどのように担ってくれるのだろうか?」という漠然とした不安や心配を抱くご両親が多く切実な問題となっています。

また、事故などで両親が亡くなるケースだけでなく、ご両親の高齢化に伴う認知症などの発生により、障がいのある子どもの面倒を見ることができなくなる場合にも親なき後問題が顕在化しています。

親なき後問題を解決するために、国の制度である<成年後見制度>を活用することもできます。この制度を利用する場合は、財産管理・身上監護を、障がいのある子どもの法定代理人である<成年後見人>に委託することになりますが、家庭裁判所の関与や成年後見人への月額報酬の支払いなど、気軽に利用するには難しい点があります。

成年後見制度の不便性を解決する手段として、より自由な制度設計ができ資金的にも負担感が少ない家族信託を活用することが考えられます。

家族信託を活用して、ご両親が信頼できるご家族に障がいのある子どものための財産管理を託すことで、ご両親が亡くなったり認知症を発症した場合でも、財産を託されたご家族から障がいのある子どもへ金銭の給付を安全確実に行うことが可能となります。

家族信託を検討するに際しては、金銭の給付のみならず日常生活を支えていくための生活支援をどう組み込むかという視点で検討することも重要となります。

主な生活支援(例)としては以下の通りです。

  • 生活関連費用の支払い(食費・光熱費・通信費・交通費・家賃など)
  • 医療費用の支払い(通院・入院・手術など)
  • 介護費用の支払い(介護施設への入所・通所など)

信託口口座での信託財産の管理および信託監督人機能の活用により、信託財産を安全に守ることができます。
詳しくは「ペットの家族信託」ページをご確認ください。

障がいのある方の家族信託のしくみ(例)

障がいのある方の家族信託のしくみの図

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    ご両親と信頼できるご家族との間で「金銭」を<信託財産>とした<信託契約>を締結します。

  2. 2

    <委託者>は<信託契約>にもとづき<信託財産>の管理を<受託者>に委託します。

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    <受託者>の義務である「信託事務」の一部を<信託事務代行者>に委託します。

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    <委託者>が意思能力を喪失した場合は<信託財産>から<受益者>に生活費などを給付します。